消しすぎた
- 作者: 中島敦
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 1993/03/01
- メディア: 文庫
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いや違うことないわ。中島敦はいいぞう。私は高校ん時の現国教科書に載ってた『山月記』を読んでやられた派です。あの、漢文書き下し口調に、なんて明快で論理的なスッキリクッキリ文体なんだろう!ってな。文体に、輝く機能美を見ました。そんでほかのも読みたくなって調べたら、30代後半で夭折しちゃってるので、「全集」がちくま文庫で3巻だけなの。息子ちゃんに宛てたの以外はあんまりおもしろくない書簡集も含めての3冊ですよ。もったいないなあ。特に続きを書いてほしかった『わが西遊記』シリーズの『悟浄出世』『悟浄歎異』は、ちくま第2集に収録されております。おかげで第2集だけカバーがぼろぼろです。何度も読むからだ。
アレを読んで「悟浄は私だ」……とは思いませんでしたが(だって私には能天気でエピキュリアンな豚(=八戒)の部分もあるから…)、悟浄ちゃんの言いたいこともよくわかるんですよ。悟浄ちゃんは、今思えばだけど、若くて青くて恥ずかしいんだよ。でも、読んでた私も若くて青くて恥ずかしい時期(まだ続いてるのか?)だったから、彼の精神的彷徨もひとごとではなかったわけで。
あれ、何の話だったっけ。とにかく私には、我が内なる『わが西遊記』があって、それに絡めて書いたなにやらステキだったらしいテキストがあったのに、無くしてしまいました。ていうか自分で消してしまいました。よーん。またステキテキストって言ってもらえるようなものを書けるように、精進します。