ヱヴァ:破 (ネタバレ)

序はねえ、何も期待していなかったの。
ていうか公開もよくわかんないうちにされてたの。
だから結局DVDで見た。


破は昨日レイトショーで観てきました。
最近映画はレイトか水曜日(レディースデー1000円)にしか
行ってなくて、レイト=ガラガラでのんびり、なイメージだったんだけど
いえいえ、混んでました。私のレイト史上いちばん混んでたような。


↓ここからネタバレです。気をつけてくださいませ!↓




































エヴァの感想を書こうと思ったら、自分のエヴァに対するスタンスが
必要になってくる気がして仕方がない。
私が最初にテレビシリーズを観たのは学生のころ。
本放送じゃなくて、多分96年の年末に一挙放送をやってたときだと思う。
それから映画版(シト新生)を観て、97年にあのEOEを観た。
なんじゃこりゃ!って思ってもう1回観た。
その後「同じ映画を劇場で二度以上観る」ことが
それほど特別じゃなくなっていった私だけれど、
そんなことをしたのは生まれて初めてのことだった。
あれからもう12年ですって。
私はあんまり成長してないなー。
でも、エヴァは成長してた。



「他者と分かり合おうとするレイ」(心の機微とか苦手だったじゃん!)
「他者を受け入れようとするアスカ」(孤高のオレ様が高じて病んだのに?)
もそうなんだけど、私が一番びっくりしたのはシンジ。
自分を持っているシンジ?


相変わらず逃げるし(じゃないとシンジじゃない!)、
父親ともぶつかるんだけど、なんつーか、少し大人になってるというか、
以前より意志が鮮明になってるというか。


あれ?あれあれ?なんかちょっとカッコよく見えるんですけど。
かつてあんなにイラッとさせられたシンジに?
EOEなんかホント正味気持ち悪いコイツと思ったシンジが?
と、ほんのり感じながら見てたんだけど、
使徒に取り込まれたレイに向かって
ATフィールドの壁を破りながら「来い!」と叫ぶシンジを見たとき確信に変った。
こいつ、やっぱりカッコよくなってるわ…。


「来い!」ですよ?「来い!」なんて言うキャラだった?
以前のキミなら「来てよ!(どうして来てくれないんだ!)」じゃない?
そんで誰も来てくれなくて泣きべそかいたりしなかった?
シンちゃん…大人になって…。



TV版やEOEに至る映画版の、とんでもなく負のパワーに満ちてて
思春期のニオイ(Smells Like Teen Spirit)がぷんぷんしてて
生と性と死がごたまぜになって、
思わず二度見するほどのバッドエンドで終わり散らかしたあの感じ、
あの感じもキライじゃなかった。
「みんな死んじゃえ!!」が、呪いと同時に祝福だった。あの感じ。
全ての命が、全ての個が、LCLの海と一体になり溶けていく…あの感じ…。



それがどうです!
今回は。



どうした庵野。やっぱりそうなの?
きちんと恋愛して、きちんと結婚して、真人間になったというの?
全て許して受け入れてくれる、ダメなボクが頼れる
唯一の母としてのレイ(ユイ)も、
大人の男(加持)とイチャイチャしくさったあげく
ダメ出しをしてくる叩くべきビッチ(脳内敵)としてのアスカも、
フツーに「個」に戻してあげれたの?
そうして、シンジは大人になれたの?



正統派アニメな感じ。
でもそれも決してイヤじゃない。
すくすくと、エヴァ



次回作が楽しみです。





あ、ひとつだけ「あ〜あ」っていう演出があった。
使途に侵食された三号機と初号機が戦うシーンに
「今日の日はさようなら」がカブるのはどうかな〜。
私は好きじゃないな〜。


戦争やテロなんかの酸鼻を極める映像に、
たとえば「What a Wonderful World」みたいな人生賛歌を
のっける逆説的な演出は、うまく使えばカッコいいんだけど、
鼻に付くとほんと鼻につく。
今回は鼻についた。
ていうか、「あの曲」を使ってくださいよう〜あのシーンは!
あのカッコよくも怖い曲をよ〜!
そんで咆えさせてよ〜。


でも、最後の「翼をください」はアリだと思った。
シーン自体がオリジナルだからかな。
EOEの最後にかかった曲(Komm,susser Tod)と、曲の展開が似ていた。
わざとかな。
翼をください」のシーンは、EOEで言うところの
人類補完計画発動で、みんながベチャッと吹っ飛んだ
あのシーンに相当すると、音楽は示唆しているのでしょうか。




そんなことを思ったので、ウチに帰ってから、
iTunesに入れることもしていなかった
「Komm,susser Tod」のシングルCD(持ってるんですよな〜)を
探して聞きました。


原詩は庵野氏↓。これはこれでいい。EOEの救いの無さが良く出ていて。
中二暗黒時代真っ只中な感じがして。


 不安なの。
 不安なの。
 みんなに嫌われるのが、怖い。
 自分が傷つくのが、怖い。
 でも、ヒトを傷つけるのが、もっと怖い。
 でも、傷つけてしまう。
 好きなヒトを傷つけてしまう。
 だから、ヒトを好きにならない。
 だから、自分を傷つけるの。


 嫌いだから。
 だいっキライだから。


 好きになっては、いけないの。
 だから、自分を傷つける。


 優しさはとても残酷
 心を委ねたら、私は壊れてしまう
 心が触れ合えば、あの人は傷つく


 だから、私は壊れるしかない
 無へと還るしかない


 無へと還ろう
 無へと還ろう
 それは、優しさに満ち満ちたところ
 そこは、真実の痛みのないところ
 心の揺らぎのないところ


 無へと還ろう
 無へと還ろう
 無へと還ろう
 無へと還ろう




でもそれはまた別の話。







次回作が楽しみです。