山田芳裕『へうげもの(4)』

へうげもの(4) (モーニング KC)

へうげもの(4) (モーニング KC)

「美意識」について考えさせられる。センスとは何するものぞや? それはやっぱり、「それ以外」のことをどんだけ広く深く知ってるか、から出てくるものじゃないかな、というのが現時点での私の答え。例えば焼き物についての知識が異様に豊富なのと、「焼き物についてのセンスがある」というのは別ものなのではなかろうか。『へうげもの』に関して言うとそれは、趣味道楽の世界だけじゃなくて、武人だけに血みどろの修羅場も権謀術数の場も知っている、そこで研ぎ澄まされる美意識っちゅーかね。両方兼ね備えてこその通人だろうけれど、どちらか選ばなければならないのなら、私は「それ以外のことを無駄にいろいろと、側」つまりセンス部門の味方をしたい。いやもちろんどっちも必要やねんけどさー、一般的にはどうも「センス」がややないがしろにされがちな気がしているので(特に今の会社にいると)。必要よ?一見無駄なことって。知らないよりも、知ってた方が人生楽しいもの。そしてそれを「教養」と人は言うのではないのか。

最近「何のために勉強するの?」というアレが世間をアレしている(ボケ老人…)みたいですが、確かにかつて私は数学と物理がだいだいだいっキライで、たとえば微分積分や重力加速度が今なんの役に立ってるかというと、鼻クソほども役になぞ立ってない。でも今、こういうマンガをおもしろおかしく読めるのは、微積分のおかげとは言わないけれど、やっぱ「教養」の端っくれをちょっとばかり身につけているからなんだと思うんです。あと、「あー!社会人になってよかった! 宿題もテストもない社会人最高! 朝ごはん代わりに雪見大福食べても怒られない大人って素晴らしい!」と30を過ぎても新鮮に思い続けることのできる喜びを得られる、っていうのもある。だから勉強はしとくのが吉。