『キル・ビル』
初日初回から観てまいりましたキル・ビル。なんというか、今から書くことはすべてホメ言葉ですので。バカとかそういう言葉が出てきますが、それも含めてホメております。
一昨日の心にしみこむ映画『ラブストーリー』のそこはかとない余韻もフッ飛ぶ快作というか怪作というか。なんと言えばいいのか、とにかくバカ暴走っぷりがステキ。タランティーノの「日本がスキでスキでたまらない!」という気持ちが伝わる映画。言葉の意味はよくわからねども、とにかくすごい自信だ、そういうかんじ。奇しくもトム・クルーズの『ラスト・サムライ』*1が、予告編でかかりまして、そんで思いました。きっと『ラスト・サムライ』も『キル・ビル』も、日本とかその文化とか精神に対するリスペクトであることには違いないと。しかしながらそのリスペクトが向かう方向は、真逆、いやもうなんか「ねじれ」くらい接点ナシ。『ラスト・サムライ』はもちろんまだ観てないけど、普通にガイジンが「武士道」に漢の生き様(そして死に様)を見つけたり、クロサワ映画に感動したりする延長なような気がするわけですよ、なんとなく。『キル・ビル』の場合はまかりまちがえると「バカにしとんのか!」というほど、込み入った・オタク的・偏執的なリスペクト、いやむしろ愛をかんじます。この西洋人の皮をかぶった日本人め。ほんとうにチャンバラとヤクザ映画とアニメとウィークエンダーがスキなのだな。スキすぎてカットできなかったんだな。と思うほど、立ち回りシーンとアニメシーンはわりと冗長。でもいいの、スキすぎて編集するに忍びなかったんだきっと。
しかし日本をスキなのはいいが、日本語の扱いをもちっと丁寧にしてくれい。ソニー千葉がセリフ噛んでるのにそのまま使われてるし、ユマ・サーマンとルーシー・リューの対決シーンは「もうガイジン同士なんだから英語にしたらいいじゃん!」と思った。でもまーそれが結局オモロかったんだけど。いや、オモロかった。だからもういいや、何でも。
全編を通して、スクリーンを指さしながら「ありえねー(笑)」なかんじ*2で、ツッコミどころ満載で(つまりこの映画はボケてくれているのだ)、それでげたげた笑える人となんかリアリティなさすぎて引いてしまう人と、ふたつにぱっきり分かれてしまうのかもしれない。それが賛否両論の正体なのかな。私は正直こんなバカ映画大好きだ。すこし前『オースティン・パワーズ』あたりで「おバカ映画」という言い回しがはやったが、違う、この映画は「バカ映画」だ。断じて「おバカ」などではなくて、はっきりと「バカ」。そういうところがすてきだ。しかし「続きもん」になってたとは。そんなところで終わるんじゃない。バカ。
あと、「リリィ・シュシュ」の曲かかってた。と思う。多分。あれかな、美術の人が『スワロウテイル』の人みたいだったので、そんで小林武史つながりかなと。よくわかんないけど。
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