ひとり下手
最初からひとりなら平気なんですよ。誰かといて、途中で別れるから寂しくなる。私の寂しさはそこにある。
中島らもがエッセイで山岸凉子を絶賛していて、その時に「山岸凉子のマンガで、なぜひとりでいるのかと聞かれた登場人物が『出会ってしまうと、別れるのが辛くなりますから…』と言うシーンがあって、それが好き」的な*1引用がありました。私はそのエッセイを読んでからだいぶ経った後に山岸凉子を好きになり、わりとたくさんの作品*2を読んだのですが、そのセリフをまだ見つけられていません。どの作品に出てくるんだろうね? まあとにかく「出会いは別れのはじまり」で「さよならだけが人生だ」ってことなんですけれども。でもだからって「じゃあ誰とも出会わない」なんて人生を私は選べないですよ。
中島らもも山岸凉子も大好きな作家ですが、今これ書いてて急に「寂しさ」でつながりました、私の中で。
何も大した別れ(恋人と別れる、誰かと死別する、等)があったからこんなことを思ったんじゃないんですけどね。日常の、ほんのちょっとしたことで私は寂しさを感じるので、「なんで?!」と、また病気(自己分析という病)が出ただけです。
昨日、会社の子とお茶していたら友人*3から「近くにいるから一緒に帰ろうか」とメールが来ました。お茶してる場所まで来てもらって、しばらくしゃべってたら「ちょっと歩きたかってんけど、ここまで歩いて来たから満たされたし、やっぱ電車で帰ろうかな」とか言い出した。えー。なんでそんなこと言うの?一緒に帰ろうよう!! ……と、なるわけですよ私は。まあ、結果的には一緒に帰ったんですけれども、彼女曰く「でも今んとこ私はあんたの行動に影響与えてないで? 私が移動してきたわけで、あんたを移動させたわけじゃないしさあ」とのこと。まあな、まったくその通りなんだけど、なんか寂しいじゃん。私が勝手に精神的に振り回されてるだけかもしれないのですが。心の準備が段取りが。
同居人に対してもそうです。こないだそれでケンカしたんですけどもね。別にいなければいないでいい。でも、夕方とか夜に急に出て行かれると、むちゃくちゃ寂しい気分になって「なんで先に言うといてくれへんかったんよ。予定立てづらいやん」と半ギレ気味に対応してしまうのです。彼女に言わせれば「でもあんたずっと家にいたやん」ってことなんだろうけど、でも、なあ。急にいなくならないでよ。心の準備が段取りが。
最初からひとりってわかってたら、全然平気なんですよ。そういう風に心の段取りするもの。ひとりで行動*4できるし、ひとりで家にいるのも好き。でも、今までいた誰かが、私の心の準備もなしに、いなくなるのが怖いのです。予定が狂うの、予定がなくても。両親健在だし虐待も受けてないし、そんなトラウマないはずなんだけどねえ。
ああ、でも、やっぱ幼少のころの影響は少なからずあるのかもしれません。ひとりっこだしなあ*5。核家族のひとりっこって、家に「自分と両親」しかいないんですよ当たり前だけど。自分以外の人間は、親だけ。チビのころの私からしたら、親がいないのは世界が無いのと一緒だもん。さっきまでいたはずの親がいない、とかってものすごい恐怖ですよきっと。親離れや成長する過程でそういうのは克服していったんだろうけど、私の根っこにどこか「放っておかないで」という気持ちが残っているフシがあります。そう、放っておかれるのが最もキライで苦痛で恐怖なのです*6。だからこんなに構ってちゃんになっちゃった*7。
そういうわけで私は、最初からひとりでいることや、予定として単独行動になると分かっていることや、自分から去っていくことに関しては大丈夫(それは私にとって親離れであり、成長だから)なんだけど*8、置いて行かれたり、放っておかれたり、私の家にいた友達が帰ったり、自分だけがいなかったことを後から聞かされたりするのが苦手なのでしょう。パーティが終わるのはしょうがない、けれどパーティ会場に私を置いてかないで。おお、そういうことですね。腑に落ちた。ので、本日の自己分析終了。
- 作者: 山岸凉子
- 出版社/メーカー: 潮出版社
- 発売日: 1997/06/23
- メディア: コミック
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*1:手元に資料も何もないのでアレですが、文意としてはこんな感じ
*2:文庫になってるのは全部ウチにあります
*3:近所に住んでてしょっちゅう会ってる15年来の友。前日も会って4時間しゃべってる
*4:お茶、ランチ、晩ごはん、飲み、映画、買い物…。一通りはお一人様可能です
*5:自分がひとりっこで、親の愛情を独り占めした代わりに親からの期待やプレッシャーも全部受け止めているがゆえに、私はひとりっこ反対派です。事情が許す限り、子供は2人以上持つべきだと思う。少子化ウンヌン関係ないぜ。これはひとりっこからの心からのお願い
*6:私がいくらドMでも、放置プレイだけは心の底から無理だとおもいます。多分逆上します
*7:構ってもらうための方策として、サービス精神が過剰に育って、Mっぽくなったと推察されます
*8:しかし誰かを振るのは苦手。相手の立場で置いてかれる辛さを想像してしまうから。まあそれでも振られるよりはマシなんだけど