ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)

挑戦中のハヤカワSFはコレだったのでした。「ジャケ買い」ならぬ「タイトル買い」でございます。ジャケはやっぱハヤカワの例に漏れずちょっとコワげ*1。時は2076年「圧政に苦しむ月世界植民地は地球政府に対し独立を宣言した! 革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識をもつ巨大コンピュータ<マイク>」(裏表紙より)という話。ハードSFですね。この手の本は、あんまり感想を書くとネタバレになってしまうので少しだけ。ぶ厚い(588頁)本ですが、わりとサクサクと読めました。それはやっぱり「未来で異世界とはいえ設定が細かく、その設定がきちんと運用されているので説得力があるから」ってことでしょう。本筋だけの描写にとどまらないから、「月のくらし」をすんなり受け入れて本筋に集中できるのね。でまーつまり、これは革命を描いたお話なのですが、やっぱりこういうのって「革命前夜」が一番面白いわけですよ。どうやって革命を成功に導くか。その組織作り、陰謀なんかがね。もちろんこの話もそっちにページを割いていますが。しかし一旦革命が始まってしまえば、もうあとはその革命をいかにして成就させるかということと、政体をいかにして安定させるか、とかそういう話になってくるのでちょっと読むスピードも落ちるね。そして最後は(書かないけど)、ちょっぴり切なくなりました。

*1:隕石の破片みたいなのに女の人の顔が浮き出てるのー